繰り返される静物画。中尾拓哉が見た田幡浩一
ドイツと日本を拠点に活動する1979年生まれの田幡浩一は、一枚一枚の絵画を連続で見せる手法で映像を制作し、静止画と動画による多様な表現を試みている。ギャラリー小柳で開催した個展「one way or another」では、連続するドローイングによる動画とその原画、「ズレ」をテーマに描いた絵画作品を発表した。繰り返し描かれる静物画が展示された本展を、中野拓哉がレビューする。中尾拓哉...
View Articleミヤギフトシ連載07:津島佑子の遺作から。歌という渡り鳥。
アーティストのミヤギフトシによるブックレビュー連載。第7回は、津島佑子の遺作『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』の舞台となった網走から知床を訪ね、北方民族の物語を読み継いでいく。 津島佑子『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』人間の大地から ミヤギフトシ...
View Article「わかったさん」が再び舞台化! 全国13劇場で上演
2015年に初演されたこどものためのお芝居『わかったさんのクッキー』が、2016年7月16日のKAAT神奈川芸術劇場を皮切りに全国13劇場で再演される。気鋭の若手アーティストが再集結し、こどものための「おいしいおかしいおしばい」をつくりあげる。...
View Article蓄積された人生の時間にふれる、ジャ・ジャンクー監督に聞く
ジャ・ジャンクー監督・脚本の映画『山河ノスタルジア』が、Bunkamuraル・シネマほか全国で4月23日より順次公開となる。ジャ・ジャンクー監督はこれまでに『長江哀歌』(2006)、『罪の手ざわり』(2013)などで「中国のいま」を映し出してきた。第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された本作は、変貌する世界と時代に翻弄され、離ればなれになった母と息子の関係と変わらない想いを、1999...
View Articleスカイツリーを育む東京下町の風景、佐藤信太郎『東京|天空樹』
この5月で開業から4年を迎えた東京スカイツリー。高さ約634メートル、日本で最も高い建造物として2012年に開業した同タワーは、今ではすっかり東京下町の風景の一部となっています。2011年末に刊行された佐藤信太郎の写真集『東京|天空樹』は、2年半にわたるスカイツリーの成長を記録したもの。今あらためて、思い出のアルバムを開くように、この写真集を眺めてみたいと思います。超現実的な東京の風景...
View Article【今月の1冊】多角的に論じる、「地域アート」と美術と日本
『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から注目したい作品をピックアップ。毎月、図録やエッセイ、写真集など、さまざまな書籍を紹介しています。2016年6月号では、近年興隆が目覚ましい、地域を舞台にしたアートフェスティバル(=地域アート)をめぐる議論を収めた、藤田直哉編・著『地域アート 美学/制度/日本』を取り上げました。藤田直哉 編・著『地域アート...
View Article描く「道具」に着目した絵画 TARO NASUで秋吉風人展
多彩なメディアと方法で「絵画とは何か」という命題に取り組み続ける、秋吉風人による新作個展「something too much」が、TARO NASU(東京・馬喰町)にて開催。絵画の「道具」に着目した新作が展示される。 秋吉風人は、1977年大阪府生まれ。絵画をベースに、彫刻、映像、写真などさまざまなメディアを用いた作品を発表してきた。近年では「あいちトリエンナーレ2010」や「VOCA展2014...
View Article「絵画」をキーワードにしたふたつの展示が武蔵美で開催
「絵画」をキーワードにした2つの展覧会「GROUND2 絵画を語る──見方を語る」と「平面を超える絵画:インスタレーションと日本画的感性」が、武蔵野美術大学美術館(東京・小平市)で開催される。 「GROUND2...
View Article自然界の野性に揺らぎを与え、 内省的な時間と空間をつくりだす
ポスト・コンセプチュアリストとして1990年代より活動するショーン・ランダース。絵画、詩、彫刻、インスタレーション、映像など様々な手法を用いて、絵画の永続性への関心をもとに制作する作家に、時代を超える、絵画の普遍性について話を聞いた。...
View Articleお絵かき掲示板の二艘木洋行が「サイン入りポスター」の新作個展
「お絵描き掲示板」のペイントツールで描いたデジタル作品などを発表している二艘木洋行(にそうぎ・ひろゆき)の新作個展が、TALION GALLERY(東京・目白)にて開催。「大ポスター展」と題された本展では、新作の「サイン入りポスター」シリーズを発表する。...
View Article大宮エリーからの「手紙」 十和田市現代美術館で絵画展開催
十和田市美術館(青森県)にて、エッセイスト、映画監督、ラジオパーソナリティなど多彩な分野で活動する大宮エリーによる、美術館では初となる個展「シンシアリー・ユアーズ ─ 親愛なるあなたの 大宮エリーより」が開催される。 企画展示室以外の空間を大胆に使い、絵画作品やドローイング約50点を展示。会期は2016年5月28日〜9月25日。...
View Article篠山紀信の写真展が六本木で開催 矢吹春奈のヌードを撮り下ろす
日本を代表する写真家のひとり、篠山紀信。彼が撮り下ろした女優・矢吹春奈の写真展「篠山紀信|未発表 矢吹春奈」が、5月28日〜6月18日にかけ、ギャラリー「hiromiyoshii roppongi」(六本木)にて開催される。 篠山紀信は、1950年代後半から現在にいたるまで第一線で活躍する写真家として、これまで...
View Article「反射」を見つめるまなざし ポクロン・アナディンインタビュー
現代社会における個の人間像から都市に潜むインフラまでを、それらの流動性のなかでとらえようとするフィリピン出身のアーティスト、ポクロン・アナディン。2月から3月にかけてTARO NASU(東京・馬喰町)で開催された個展「Sidereal Message」に際し、万物の移ろいの匿名的な観測者たらんとする作家の試みに迫った。人、水、都市、天体の観測とらえがたきもののポートレート...
View Articleダメ人間を自認するアーティスト篠田太郎の思考をたどる展覧会
人と自然の関わりに着目した大型のインスタレーション作品などを国際的な舞台で発表し、評価を得ている現代美術家、篠田太郎。現在、AI KOWADA GALLERY(神田)にて、これまでに発表してきたインスタレーション作品の発想の端緒となったドローイングを中心に紹介する展覧会を5月29日まで開催中だ。...
View Article美術の新たな側面に出会う 『美術手帖』6月号新着ブックリスト
『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から、エッセイや写真集、図録など、注目したい作品を紹介しています。2016年6月号では、ミュゼオロジーから戦争との関連性まで、さまざまな観点からアートや美術作品のあり方を考える4冊を取り上げます。池野絢子 著『アルテ・ポーヴェラ 戦後イタリアにおける芸術・生・政治』...
View Article雄大なシルクロードに迫る中国の二人展が、5月30日から開催
実験的な画材や技法で新しい表現に挑戦する画家、呉澤軍(ご・たくぐん)と、緻密な筆使いで大自然を描く洋画家、張晶(ちょう・しょう)。2人の中国人アーティストによる展覧会、「シルクロードの旅 呉澤軍・張晶 絵画展」が、5月30日〜6月2日に日中友好会館美術館(東京・文京)で開催される。西洋と中国を結ぶシルクロードをモチーフに、様々な表情が描かれる。...
View Article無限の「パダンパダン」。鈴木俊晴が見た益永梢子
益永梢子は、複数のタイルや折りたたまれたキャンバスなどを支持体に、日常の所作や思考の跡が表れるような作品を展開してきた。gallery yolcha(大阪)で開催された個展「ルラン タット パダンパダン」では、蝶番でつながれたパネルの絵画作品を中心に展示。素材や形態の組み合わせが不思議なリズムを生み出した本展を、鈴木俊晴がレビューする。鈴木俊晴...
View Articleルノワールの描いた女性たち
日本でも高い人気を誇るフランスの印象派の画家、ピエール・オーギュスト・ルノワール(1841〜1919)は、淡い色彩を用いて日常の風景をとらえた作品を数多く残してきました。ルノワールは、社交界の有名人から労働者までさまざまな女性の人物画を描いています。幸福感に満たされ輝く彼女たちは、それぞれの魅力を持ち、見る側の心にもあたたかく優しいものをもたらしてくれます。ここでは、ルノワールのモデルとなった3人の...
View Article期待のアーティストに聞く! 富田直樹が描き出す「無」の光景
空きテナントのファサードや不動産屋が案内する空き部屋の光景など、寂寞としてニュートラルな状態のモチーフを厚塗りの絵具で描き出す、1983年生まれの富田直樹。現在、MAHO KUBOTA GALLERY(東京・外苑前)にて、新作展「郊外少年/suburban...
View Article上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座⑤ 背景編
初心者にもやさしい直感的な操作が可能な多機能・低価格のペイントソフトとして、多くのクリエイターから支持を得ているペイントソフト「openCanvas」。その魅力を、同ソフトのメインアートワークを手がけた人気イラストレーター・藤ちょこさんが、声優の上田麗奈に教える連載です。デジタルイラストの制作はまったく初めての上田ですが、次々にわき上がってくるイメージを形にするべく、藤ちょこ先生の指導で「openC...
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