衣服は、時代とともに移ろう「ファッション」ではなく、私たちの生活に密接に結びついた、普遍的な「デザイン」である。そんな思想をもったデザイナー三宅一生のものづくりに触れることができる展覧会が行われる。会場は、「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動理念としている六本木の国立新美術館。デザインも重要な展示テーマとしているだけに、今回の展覧会も大規模なものとなっている。
三宅一生は、1960年に東京で開催された世界デザイン会議において、衣装デザインが含まれないことに疑問をもち、質問状を送ったことがあるという。彼がすでに学生時代から、衣服は「デザイン」であるとする思想をもっていたことがわかるエピソードだ。それ以来、自由な発想のもとで、素材づくりや「一枚の布」と身体の関係、そこに生まれる「ゆとり」や「間」を追求してきた。そしてその過程で、服づくりの伝統、革新的な技術への挑戦など、様々なテーマに挑んできた。
本展は大きく3つの部屋で構成される。三宅の活動の原点となる1970年代の服を展示するルームA。身体に焦点を合わせた服のシリーズを紹介するルームB。そしてチームとして服づくりに取り組む三宅のもっとも革新的な側面を、いくつかのテーマに分けて発表するルームC。各部屋ごとに異なる側面にスポットを当てながらも、その根底にあるのは、三宅のものづくりの根幹をなす問いかけ「一枚の布をいかに使い、活かすのか」である。

撮影:岩崎寛
三宅は、伝統技術や職人技を生かした衣服デザインや最新のテクノロジーを用いて、新しい素材や服づくりを模索してきた。三宅の服づくりの考え方や、伝統と最新技術を駆使した「製品プリーツ」の制作過程を紹介するほか、佐藤卓によるアートディレクションや、デザイナー吉岡徳仁によるインスタレーションもみどころ。また、全作品撮り下ろしの展覧会カタログの刊行が予定されている。
1970年代から現在に至る三宅の仕事の多様性や豊かさを紹介しつつ、その細部にもスポットを当てた本展は同時に、現在そして未来の創作の可能性を探る展示でもある。三宅の姿勢や発想には、ものづくりの楽しさが満ちあふれている。
https://youtu.be/cNdHpFd5UlE
展覧会招待券を5組10名様にプレゼント!
「MIYAKE ISSEY: 三宅一生の仕事展」の招待券を、抽選で5組10名様にプレゼントいたします。ご希望の方は、お名前・メールアドレス・ご住所・「bitecho」の感想を記入のうえ、件名を【bitecho「MIYAKE ISSEY展」プレゼント】とし、bitecho@bijutsu.pressまでメールをお送りください。応募締切は2016年3月15日。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
場所:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00(最終入場は閉館30分前)※金曜は20:00まで
休館日:火休(5月3日は開館)
観覧料:一般 1300円 / 大学生 800円