大接戦となったアメリカ大統領選挙は、女性蔑視発言などで注目を浴びたドナルド・トランプがヒラリー・クリントンを制し、次期大統領に就任することが決定した。アメリカ各地で抗議デモが巻き起こるなど、同国のみならず、世界に大きな衝撃を与えたこの結果に、アーティストたちはどのような反応を示しているのだろうか。
アメリカ大統領選では、アーティストたちもそれぞれの政治的スタンスを明らかにしてきた。アメリカを代表するアーティストのひとり、ジェフ・クーンズは、かねてよりヒラリー・クリントンを支持しており、「トランプは大統領にふさわしくない」とも発言してきた。投票日には自身のInstgramで「ヒラリーに投票するのをとてもワクワクしている!投票に行こう!」と呼びかけていたが、結果が判明してからは沈黙を守っている。
アメリカ国内だけで8つの拠点を運営する大手ギャラリー「ガゴシアンギャラリー」のオーナー、ラリー・ガゴシアンは、9月に「Art for Hillary Auction 2016」と題した資金集めのオークションを開催。自身にとって初の、公式な大統領選資金調達イベントで、クリントン支持を明らかにしていた。投票日にはエド・ルーシェイの星条旗をモチーフにした作品をUPし、投票を呼びかけるなど積極的な動きを見せてきた。
今年、ヴェルサイユ宮殿で個展を行い、ベルリンに拠点を置くオラファー・エリアソンは「アーティストとして、多くのアメリカ国民が抱く社会構造に対する不満に、適切に対処できなかった。この結果は私に自己批判する糧を与えてくれた。私たちは消極的なままでいてはいけない。この機会を、尊敬と共感に基づいた、新しいムーブメントを起こすきっかけととらえ、自らの意見を聞いてもらえないと感じている人々の声に、本当に耳を傾けなくてはいけない」とコメント。7000件以上の反応を集めている。
また、今年行われたイギリスのEU脱退に関する国民投票の際には、ポスターを制作・配布するなど大々的な離脱反対キャンペーンを行った、ロンドン・ベルリンを拠点にするヴォルフガング・ティルマンスは、自由の女神が涙する画像(もとはボーイ・ジョージがUPしたもの)をポストしたものの、未だ自身の言葉は発していない。