金沢21世紀美術館(石川県)にて、小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソックによるコラボレーションチーム「西京人」の個展「西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。」が開催されている。アジアの架空の都市国家「西京」をめぐるシリーズの集大成として、ユーモアあふれる視点で社会や国家をとらえた作品群を展示。
「西京人」とは、それぞれ日本、中国、韓国で活動するアーティスト、小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソックによって、2007年に結成されたコラボレーションチーム。アジアのどこかにある架空の都市国家「西京」をモチーフに、ユニークな視点で社会や国家について考える、プロジェクトベースの作品を発表してきた。
本展ではこれまでの作品の中から、北京オリンピックにあわせて制作された《第3章:ようこそ西京に─西京オリンピック》(2008)、メンバーそれぞれが大統領として西京の国政を担う様子を描いた《第4章:アイラブ西京─西京国大統領の日常》(2009)、教師と生徒の間のヒエラルキーを排する西京の教育システムを表現した《第4章:アイラブ西京─西京国の学校》(2013)などを展示。また、日本と韓国において西京人の過去作品と同じテーマでのワークショップを実施し、その様子を映像作品としてまとめた最新作《第5章:西京は西京ではない》(2016)が発表された。
「西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。」というタイトルは、仏教の思想から影響を受けて着想されたものだという。彼らによれば「西京」とは、固定された境界をもたないが、それゆえに開放された自由な空間として成立する存在。架空の都市国家を通じて、ユーモアを交えながら現代社会の様相を浮かび上がらせる企画となっている。
3人は、1960年代生まれの同世代。本展では、それぞれの作品を紹介する「部屋」も設けられる。《なすび画廊》(1993)や《ベジタブル・ウェポン》(2001)で知られる小沢は架空の従軍画家の人生をモチーフとした近作《帰って来たペインターF》(2015)を、チェンは歴史的な出来事にまつわるインターネット上の写真をもとにしたインク画による映像作品を、ギムホンソックはパブリック・アートについての新しい提案のためのテキストとドローイングによる作品などを、あわせて展示する。
会場:金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14
住所:金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金、土〜20:00)
休館日:月休(5月2日、7月18日、8月15日は開場)、7月19日
入館料:一般1,000円/ 大学生800円/ 小中高生400円/ 65歳以上800円
URL:http://www.kanazawa21.jp