さまざまな観点から開発された個性豊かな画材。実際に使用し、その使い心地を体感することで、作品の幅に拡がりが生まれることもあるでしょう。「注目の画材紹介①」では、大小島真木の制作現場を訪ね、ターレンスジャパンのアクリル絵具「アムステルダム」シリーズを、「注目の画材紹介②」では、大久保如彌の制作現場を訪ね、ホルベイン工業のアクリル絵具「アクリリックカラー」シリーズを紹介しました。今回は、絵具以外の画材(水彩筆、マスキングインク、下地塗料、版画機材)をご紹介します。【PR】
1本1本、職人による手づくり 水彩筆のベストセラー「ラファエル」
1793年の創業で、ピカソやセザンヌも愛用したことで知られる世界最大規模のブラシメーカー、ラファエル。水を含むと膨張し大量の絵具を保つことができるコリンスキー毛は、好みの量に絵具をコントロールしながら描けるため、水彩に最適。世界唯一、同じサイズでも3種の穂先を生産している。一方、日本の書道筆が竹軸を使用しているように、羽管(鳥の羽根の根元)を使用しているシリーズは、鋭い穂先と含みのよい腹を備えており、細密描写から広い範囲のぼかしにも威力を発揮してくれる。

下──シリーズ803丸筆(羽管 #3)ブルーリス毛使用。筆の腹で広い範囲のぼかしが可能。全16種。2560円~
白く残したいところに直接描けるマスキングインク「ミツワ・マスケット」
白く残したいところをマスキングインクで描き、その上に絵具を重ね、乾いたら付属のラバークリーナーでこすり取る。筆を用いず直接画面に描くことができるため、従来のように筆などの道具を痛めることなく使用できる。またアクリル絵具、水彩絵具、カラーインク、ペンなどの画材を重ねることが可能なため、さまざまな技法に活用できることも利点のひとつ。先端0.8mmの細口ノズルと極細ノズルの0.55mmの2種があり、イメージにあわせて幅広い場面で気軽にマスキング表現を楽しめる。
油性・水性に適し、強力な固着力を発揮する吸収性絵画下地材「ミュー・グラウンド」
女子美術大学により監修・開発された、吸収性のある下地塗料。古典絵画における白亜地や石膏地の利便性を引き継ぎつつ、テンペラや油絵具はもちろん、水彩絵具、アクリル絵具など、多様な絵具に利用可能だ。絵具の併用もでき、新しい表現の可能性が広がる。固まった後は削りやすいため、ホビーやクラフトの下地材にも使える。
小型軽量化が実現 気軽に持ち運べるプレス機
1913年創業、京都の老舗画材店画箋堂(がせんどう)が版画家と町工場と協働で版画プレス機の小型軽量化を実現。従来の版画プレス機は重厚なため持ち運びが難しかったが、本品の開発により、ワークショップやデモンストレーションに気軽に持ち運ぶことも可能に。また、色・形・大きさなど、多様なニーズに合わせてカスタマイズオーダーもできる。自分だけのプレス機で、自由自在に版画表現が楽しめる。