京都市南区に位置するアートホテル「ホテルアンテルーム京都」。ここを舞台に、新進アーティスト16名が集う「CAF賞選抜展」が11月19日に開幕した。本展は公益財団法人現代芸術振興財団が2014年より主催し、全国の学生を対象に、若手アーティストの育成を目的として毎年実施しているアートアワード「CAF賞」の選抜展だ。選抜アーティストを選んだのは現代美術家の名和晃平。その狙いとは?
「CAF賞選抜展」で作品を見せるのは、過去3回の「CAF賞」受賞作家の中から選ばれた、増田将大、畑山太志、田中望、須永有、ジダーノワ・アリーナ、大和美緒、浅井拓馬、星野夏来、富田直樹、村松英俊、村井祐希、表良樹、井田幸昌、戸嶋優多、西村有未、粕谷優の16名だ。
「ホテルをアーティストのプレイグラウンドにする」というコンセプトでつくられたホテルアンテルーム京都。入り口では村井祐希の巨大な立体作品が来場者、あるいは宿泊者を出迎える。メイン会場となるのはアンテルーム京都のエントランスギャラリー「Gallery 9.5」だ。ここには7作家がそれぞれが今回のために制作した新作など、力作を展示している。またこのほかカフェの入り口や、客室に続く通路、そして一部客室にも展示は広がっており、まさにホテルアンテルーム京都全体を使っての展覧会となった。

開幕初日に行われたレセプションには参加作家のほか、関係者が多数出席して盛り上がりを見せた。本展のセレクションに携わった名和晃平はその場で次のように語っている。「3年間審査員をさせていただいて、その中でたくさんの作家と出会ってきた。その作家たちを京都でも紹介できないかと財団の事務局と話したことがこの展覧会実現のきっかけとなっています。CAF賞は東京で展覧会をやってきましたが、応募者のリストを見ると関西の美大勢が頑張っていて、よく見てみると、関西の美大から関東の大学院に進んだ人がいたり、逆の人もいて、クロスしている。そういうつながりが見えてきたことが面白かったので、今回のセレクションは作品の良し悪しもありますが、受賞した後に積極的に作家活動をしている人や、京都にゆかりがあって、その活動に注目すべき人にも混じってもらいました。関西の美大生にも刺激になるのではないかと思います」。
その言葉通り、当日は参加作家たちが、それぞれの作品について言葉を交わし合う場面が多く見られたのが印象的だ。
出身地も大学も様々なバックグラウンドを持つ若手作家たちが、「CAF賞」という共通項を持って集まり、切磋琢磨するこの「CAF賞選抜展」。表現技法もコンセプトもまったく異なるが、胸に抱く美術への情熱は同じくするアーティストたち。京都で今もっとも勢いのある展覧会をぜひお見逃しなく。



会場:ホテルアンテルーム京都
住所:京都府京都市南区東九条明田町7
開館時間:12:00~19:00(11月19日18:00〜)
休館日:12月18日〜20日休
入館料:無料
URL:http://gendai-art.org/caf_kyoto/index.html