福島大学が中心となり、2004年に始まった「福島ビエンナーレ」が今年7回目の開催を迎える。「氣 indication」をテーマに行われる今回は、国内外から81作家が参加。平面、立体、インスタレーション、アニメーション、ビデオアート、映画、パフォーマンスなど多種多様な作品が15か所の会場で展開される。
二本松を中心に初の開催
福島県を拠点にした若手アーティストを支援し、絵画、彫刻、工芸、インスタレーション、ダンスや詩のパフォーマンス、ビデオアート、アニメーション、映画など多様なジャンルの作品を紹介することで、幅広い芸術活動に触れる機会や、国際交流する場を設け、地域文化を活性化させる一役を担う「福島ビエンナーレ」。
東日本大震災から間もない2012年は「SORA」をテーマに福島空港と空港公園で開催し、1か月の会期で国内外から4万5000人が訪れた。また10年の節目となった前回(2014年)は、会津地方、湯川村と喜多方市を拠点に「お米」をテーマに開催。アートを通じて、日本人の米に関わってきた生活習慣や農業の祝祭、その精神的な支えとなってきた自然の「氣 循環」を紹介した。
そして今年は二本松を中心とし、「氣 indication」をテーマに開催される。「氣 indication」は気配、生と死、そして「重陽」の意味を内包しているという(「福島ビエンナーレ」の開催初日となる9月9日は「重陽の節句」であり、日本酒に菊を浮かべて不老長寿を願う「長寿の節句」。二本松城は全国一の規模をほこる菊人形祭が開催されており、菊は古来より薬草としても用いられ、延寿の力があるとされてきた)。
今回は「倭/藝術によるFUKUSHIMA (日本、福島、二本松)のイメージづくり」、「環/福島の産官民学の連携による地域文化創造」、「和/福島を拠点にした『同時代の藝術』による国際交流」の3つの柱に基づいた展示やワークショップ、イベントなど多数の企画が展開される。

注目の企画は?
明治~昭和期の先駆的な女性アーティスト、高村智恵子。その生誕130年を記念して、二本松歴史資料館では、企画展「智恵子と光太郎の世界」を開催。高村智恵子の命日である「レモン忌」には、大英博物館に作品が所蔵されたことでも話題となった、画家の小松美羽が、上川崎の和紙による灯籠、墨絵の公開制作を行う。
また、男女共同参画の活動家で知られる高村智恵子の活動を顕彰し、男女共生センターでは、海外で活躍する日本の女性アーティストの作品を展示。オノ・ヨーコの《福島のための空の曲》とともに、福島の子どもたちによる「空」の作品も新たに披露される。本会場では「市民科学者国際会議」のシンポジウムが開催され、震災後の原子力と地球環境との関わりをテーマに、伊藤公象、岡部昌生、河口龍夫、長澤伸穂など、国際的な美術家の作品も展示される。
その他、映像作品、アニメーション等に関わる作品も多い。二本松の安達が原の鬼婆伝説をテーマに、手塚治虫や、ダンサーの平山素子、大野慶人、舘形比呂一による映像なども上映される。他にもどのような作品が見られるのか、注目だ。


アニメーション:手塚治虫、坂口尚、伊藤有壱、片山拓人、河野亜季、細川晋
詩: 高村光太郎、和合亮一
書: 千葉清藍
ダンス: 大野慶人、舘形比呂一、平山素子
音楽:伊藤睦、岩田渉、大槻玲香、落合敏行、佐藤一成、永幡幸司、野島健太郎
映画:高明、古田晃司、林海象、 嶺隼樹
「ドイツから戻ってきたTEGAMI 5年目展」プロジェクト主宰 綿引展子
U.S.A/ オノ・ヨーコ、Dillon Rapp、 Hayden Senter、Jennifer Tancreto、長澤伸穂
Canada/武谷大介
Germany/Zero Reiko Ishihara、Bea Emsbach、Max Weinberg
Holland/鈴木樹里
England/Richard Bond
France/ Cecile Brice
Switzerland/Cornelia Hesse-Honegger
Mexico/保住将文、Susana Castellanos、 Juan Sebastian Becerra Mancilla、 Visente Mesinas、Carmen Flores
Bangladesh/Md. Tarikat Islam、Nepal/Kabi Raj Jama
Egypt/Ahmad Galal