現代のユース・カルチャーの象徴的存在の肖像画で知られるアメリカの女性作家、エリザベス・ペイトンの日本の美術館では初となる個展が原美術館(品川)で開催が決定した。日本では紹介される機会の少なかったペイトンの25年の画業を約40点から一望できる。会期は2017年1月21日〜5月7日。
現在ニューヨークを拠点に活動するエリザベス・ペイトンは、1990年代初めより絵画や素描、版画を中心に制作をし、とりわけミュージシャンや歴史上の人物、あるいは親しい友人や愛犬の肖像画を描いている。キャンバスの大きさは控えめながら、その大胆な色彩や繊細な線描写によって、対象の美しさを際立たせ魅力的な存在に変貌させることから、ペイトンの絵画は"新しい具象画"と称されてきた。世界各地で幾多の個展やグループ展に参加し、国際的に高い評価を得ている。
真摯に肖像画と向き合うことによって、ペイトンはその概念を大きく広げてきた。フランス写実主義のギュスターヴ・クールベ(1819-1877)からポップ・アートの旗手、アンディ・ウォーホル(1928-1987)に至る肖像画を研究し、独自の自由で現代的な表現を確立させている。ペイトンは、歴史や文学の登場人物を同時代の人物と同じような距離感で描く。さらに、同時代の人物を描く際には、歴史的な文脈を花や本といったモチーフに含めたり、背景に入り込ませたりと、ひとつの画面に過去と現在を見事に凝縮させている。

近年では、美術史やオペラから着想を得ている。5年ほど前から、神話をもとにしたワーグナー(1813-1883)のオペラが作品の主題として頻繁に表れ、静物画や素描にそれらのインスピレーションが色濃く反映されており、表現のさらなる深化をうかがうことができる。
本展では、これまで日本では紹介される機会が少なかったペイトンの活動を振り返ることができると同時に、現代の視点から絵画の歴史を感じることができるだろう。
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
電話番号:03-3445-0651(代)
開館時間:11:00~17:00(祝日を除く水曜日は20:00まで、入館は閉館時間の30分前まで)
休館日:月休(3月20日は開館)、3月21日
入館料:一般 1100円 / 大高生 700円 / 小中生 500円 / 原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生は入館無料 / 20名以上の団体は1人100円引
URL:http://www.haramuseum.or.jp/